2014年3月30日日曜日

だいじなもの

人になにかを言われると、大事なものを簡単に手放してしまう。

大事なものをとりかえすには、思い出さなければいけない。

自分自身が何を一番大事にして生きているのか。



彼と一緒にスペインへと旅立った。

お金がなくても人にお願いしたり頼ったりしない旅をした。

逃げ道をなくして、見えてきたものは別世界だった。



空港をぬけるため、クラクションを鳴らされながら高速道路を駆け抜けた。

泊まる場所がなければ、石がゴロゴロ転がった空き地で眠った。

お腹がすけば、ゴミ箱を漁った。

着いてすぐに起きたら荷物も靴も盗られていた。


「お金はおいていこう」といった彼は、いつも励ましてくれた。



「だれかに助けを求めるのは簡単。
自分達でなんとかしよう。
だれかに頼ったら、面白くなくなる。」

「靴も帽子もなくても大丈夫。作ればいいんやから。」

「必要なものは、歯ブラシと歯磨き粉くらいやったな。」



日本に帰ってきて真っ黒になった心は、なかなか白くはならない。

彼は、ますます白さに磨きをかけている。

一番大事なのは、彼と一緒にいることだ。

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