2014年4月18日金曜日

おなじものをもってる人

偶然まったく一緒のものを

もってる人がいると

つい話かけたくなるときがある。


わたしはアッと思っても

はずかしくて、うつむいて目も向けられない。


今日、彼は同じスニーカーを履いているおじさんに

平然と声をかけていた。


よそ見をすると、いつも大声で笑いはじめ

たいてい初対面の人と話をしてる。


相手は不思議なおじさんか

面倒なおじさんであることが多い。



以前から何度も自転車ですれ違い

何度も話にでてきた夢の住人のような存在

その同じスニーカーおじさんが、地元の古着屋で

自転車に乗っていない状態で

子ども服をみてる。

これは絶好のチャンスとばかりに声をかけたのだろう。


定員もお客も何事かとチラチラみにいくほど

スニーカーおじさんが

おどれすどれ怒声をきかせて爆竹のように喋っている。


こっそり見に行くと

スニーカーおじさんのスタイルは

ピチピチの黒レギンスにキッズサイズの短パンデニム。

もう一度確認せずにいられない違和感が存在をより濃く魅せている。

そしてなによりも、彼といっしょの数少ない赤と黄色のスニーカー。


話おわるまで待つことにしたが

なかなか話が終わらない。


じゃと別れたあと2店舗目の古着屋でも出会った。

もう運命といわざるおえない。

彼いわく、おじさんが店に入ったとき

いらっしゃいませー という定員の声が少し小馬鹿にした感じだったので

すぐにあのスニーカーおじさんだと分かったらしい。

「自分もあぁいう声でいらっしゃいませって言われるから分かる。」のだそう。



帰り際には、名前を何度聞いても覚えれなかったのに

覚えて握手までして、固かった笑顔もほぐれて友達になっていた。


話の始終、何度も反省していて、その姿が本当に新鮮だった。

まわりのおじさんが反省などしている姿なんか見た事無い。



彼にあとから会話の内容を詳しく聞くと

おじさんはとてもいい事をときどき言っていたみたいだ。




「俺の先生はな、五歳児や。

おっさんキモいんじゃ!っていうてくるけど、

ほんまのこというてるから先生や。

悪い事しとったら怒らなあかんけど

感じたままいうてるのがすごいんや。

みんな思ってることいわへんからな。」




「俺は足に絶対的な自信があるから。

ナルシストやから。

この曲線美出すためにレギンスはいてるからな。

足に保険かけようと思う。

俺はコンセプトを大事にしてる。

俺は、まつおばんないみたいな女装とは違うし嫌いや。

明確なコンセプトを服にもってる。」




「俺はとことんやる。もし数学を極めろっていわれたら

基礎が大事やから、俺は徹底的に、かけ算からやる!」



「野球もやるときは、大リーグやからね。」



「チャリは、ツールドフランス目指してるからね。そのつもりで

いつも自転車こいでるよ」



「俺は日本のツールドジャパンに出た。ママチャリで出て

コースも間違えて、奈良に行ってひなたぼっこして帰ってきた。」





「俺はつりも徹底的にやる。つれないってわかってる日でもつる。

そんな釣り方じゃ絶対つれないよっていわれても

自分のやり方を徹底的にやらな、納得できひん。

人といっしょは嫌やからな。」




「しゃべり続けてる人は思いやりのある人や。」




「人が左の道をいくなら、俺は右の道をえらぶ。そして

引き返す。なんなら選んだらあかん真ん中の道まで歩いて

行ってきた道を戻る。

そしてみんなが通る左の道をいく。」




スニーカーおじさんは、言葉を自分のモノにしてから話をしてる。

その日、道で選挙活動のため演説している若手市議会議員よりも

熱量、気迫、危機感をもって戦いの日々を送っている。



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